Camino Primitivo(古代の道/プリマティボの道)巡礼記録

はじめに 以下の記事は、2024年3月18日から30日までの13日間をかけて、サンチャゴ・デ・コンポステラに至る巡礼路の一つ、Camino Primitivo(古代の道/プリマティボの道)を踏破した経験をもとに、今後同じ巡礼路に挑戦したい!と考えている方々の参考にな…

具象と抽象のあそびー新美マティス展

国立新美術館『マティス 自由なフォルム』 またか、と思った人も多かっただろう。昨年夏の東京都美術館に引き続き、二度目の「マティス展」。しかし副題は異なる。都美では「The Path to Color」というように、作家のシンボルとも言える強烈な色彩に焦点が当…

世界のうちの異世界をいかに表現するか-都美印象派展

『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』 上野で「印象派」や「モネ」といった名が冠された展覧会を目にするのは何度目だろうか。今回の印象派展もまさかの上野の森美術館での「モネ展」と同時開催、それにも関わらず展示室内は客でいっぱいになっ…

身体と記号の間のリミナリティーMOTアニュアル2023

『MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ』@東京都現代美術館 全体的に、身体性とデジタルの間のリミナリティに切り込む展示が目立った。数ヶ月前にはホックニーの絵画を空間いっぱいに陳列していた美術館だが、今回は都内の大学の理工系の研究室…

リーグルとヴォリンガー:美術史の方法論

美術史の方法論 方法論をめぐる激しい対立は、美術史という学問の一つの特徴をなしている。もちろんどの人文系学問分野でも、一定程度共有された問題に対して「どのように取り組むべきか」は頻繁に議論の種となる。しかし、哲学のような思想系の学問にしろ歴…

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代

ゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代(下)』山崎章甫訳、p.137-138 「修業証書」を好きに解釈してみる。 芸術は長く、人生は短い。 古代ギリシアのヒポクラテスに遡る箴言から。日本では「少年老い易く学成り難し」という諺と対応させられることが多…